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宇宙と生命の情報通信

最終更新日
2004年7月31日

 ミシガン大学の太陽研究者タマス・ガンボシは「太陽風とは太陽からの情報を太陽系全体に伝えるメディアだ」と表現しています。最新の物理学によれば、太陽は太陽系の中心からプラズマ化したプロトンやイオンを物質やエネルギーとしてのみならず、情報として発信しながら、太陽圏全体を維持していると考えられています。地球にいる私たちも太陽が放射している熱や光、電磁波の情報を常に受け取っています。植物の光合成、人や生物の視覚、体内時計の設定やビタミンDの生成をはじめ、太陽からの情報を生体としての働きに活かす能力を生物は持っています。生物は太古より太陽光を情報として受信し、これに適合することにより進化を遂げてきました。

 

 生物の体内では、神経や遺伝子、細胞レベルでの情報通信が、電子やプロトンさらにバイオフォトンなど光子での伝達も行われてます。メディア論のマーシャル・マルクーハンはかつて「あらゆる技術は、力と速度を増すための、我々の身体あるいは神経組織の拡張である」と表現しました。まさに生物の体内で行われているごとく、パソコンの半導体は電子(イオン)によって情報が処理され、光ファイバーは情報を光子(フォトン)によって伝達されています。さらに現在、グローバルなコミュニケーションを可能にする情報通信ネットワークが構築されているわけです。

 

古代の光通信技術

 


 人類が開発した最も初期のメディアのひとつは、火を焚いて伝達する「のろし」でした。1988年に日本で行われた、のろしによる伝達実験では、29ヶ所の「のろし」を中継し、290キロの距離を2時間弱で伝える事に成功しています。古代ローマでも、「灯火」による通信が行われていました。お互いの視野の範囲に「灯火」を照らす信号塔を建て、その延長距離は4.500キロにも達したといいます。その後ヘリオグラフと呼ばれる鏡を使った通信手段も考案されました。良く磨かれた鏡に太陽の光を反射させ、モールス信号を送る事が可能でした。これら可視光を使った通信は今で言う光通信の始まりといえるでしょう。

 

無線による通信と電離層の発見

 

 無線を発明したイタリア人のマルコーニは、1901年に大西洋横断無線通信実験に成功しました。この時の電波の周波数は500KHz、イギリスとカナダを結ぶ3.500キロの距離の通信でした。当時の科学では、電波は光と同じで直進する範囲にしか到達しないと考えられていました。したがって、3.500キロもの距離の通信が成功したという事は、地球の上空に電波を反射する鏡のような物があるにちがいないと考えられました1925年に成って、予言されていたとおり電波を反射する電離層が発見されました。

 

   
電離層は太陽からの紫外線が高層大気の原子に衝突し、プラズマ状態に成った大気の密度が濃い領域です。太陽が電離層を作っているおかげで、私達はAMラジオや短波放送を聞くことが出来ます。同時に、太陽活動の変動は電離層の状態に大きく影響し、電波障害などを引き起こす原因とも成ります。さらに、磁気圏では通信用の人工衛星が活躍していますが、ときおり太陽活動の影響を受けます。そこで、太陽活動の変動をいちはやく察知し、安定した情報通信を維持していくために、宇宙天気予報が役立っています。    
未来の情報通信技術
 

 人間の歴史は、技術的に取り扱い可能な電磁波の周波数を拡張する事によって発展して来たと言えます。例えば、顕微鏡や望遠鏡などの電磁波を利用する観測技術を開発することによって、私たちはミクロ方向とマクロ方向へと知覚を拡大させる事に成功しました。そのおかげで私たち自身の遺伝子構造を解読したり、太陽活動の様子や太陽と地球のダイナミックな関係性を認識出来るように成ってきたわけです。今後も広い意味での情報通信技術、エネルギー、医療等あらゆる分野で電磁波の幅広い領域にまたがる技術が活用されていくでしょう。

 

   
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